2021年 読みたい・読んだ本リスト(随時更新)

2021-03-04 06:35:44

最終更新日:2021/12/11

読みたい本を記載しておく。
リストは随時更新するので、読んだ本リストにもなるかな。
小説系はネタバレ関係なく書いているので、気になる人はその項目は読まない方がいいかも。

  1. 高性能紙飛行機: その設計・製作・飛行技術のすべて
  2. 歴史人口学で見た日本
  3. 健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて
  4. どこかで誰かが見ていてくれる 日本一の斬られ役・福本清三
  5. おちおち死んでられまへん ―斬られ役 ハリウッドへ行く―
  6. 銃・病原菌・鉄 上巻
  7. 銃・病原菌・鉄 下巻
  8. 新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実
  9. 親業―子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方
  10. ゴルディアスの結び目
  11. 果しなき流れの果に
  12. マイナス・ゼロ
  13. MM9
  14. MM9─invasion─
  15. MM9─destruction─
  16. ネクサス(上)
  17. ネクサス(下)
  18. ボッコちゃん
  19. きまぐれロボット
  20. 市塵(上)
  21. 習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法
  22. 日本を襲ったスペイン・インフルエンザ―人類とウイルスの第一次世界戦争
  23. 市塵(下)
  24. 馬場のぼる ねこと漫画と故郷と
  25. 馬場のぼる作品集 絵本のしごと 漫画のしごと
  26. うろんな客
  27. 英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史
  28. 水木サンの幸福論
  29. 水木しげるの古代出雲
  30. 輪廻の蛇
  31. 時間とは何か
  32. 七人のイヴ 上
  33. 七人のイヴ 下
  34. ものは言いよう
  35. デリカシー体操
  36. 聖の青春
  37. ひふみんの将棋入門
  38. 名人に香車を引いた男―升田幸三自伝

高性能紙飛行機: その設計・製作・飛行技術のすべて

最近紙飛行機にはまっているが、
その道では知らぬ人のいない二宮先生の本。
図書館においてあるところがあるが、二週間で読み切れる自信がないな。
せめてKindle版が出てくれたらいいのだけど、望み薄。

歴史人口学で見た日本

先日、ふいと世界の西暦元年からの人口の変遷を調べて、
歴史人口学という学問があるのを知った。
これがなかなかおもしろく、人口の増減からそのときに何があったか、
人々の暮らしぶりはどうだったか、死生観や倫理観はどうだったかなどが見えてくる。
中国の人口の歴史なんかも面白いのだけど、それは別途記事にするかも。
(2021/03/25追記 記事かいた)
歴史人口学から中国と日本の歴史を見てみる

上記の本は、日本での歴史人口学のパイオニアの速水融さんの本で、
歴史人口学の手始めに面白そう。

2021/05/05 読了

本全体の内容としては、
概ね、事前に調べたりした内容からそう離れたものではなかったが、
歴史人口学というものがどうやって手をつけていくものなのかが分かって、非常に面白い。
江戸時代の「宗門改帳」がどういうもので、これをどうまとめて傾向や統計を出すのか、
世界の他の国ではどういう記録が残っていて、どう活かしているのかというのが、
本人の研究の進め方として書いてあるから、苦労が伝わってくる。
半分自伝だというので、なるほどという感じ。
歴史人口学がまだまだ研究する分野が多い学問だなというのが、ワクワクを感じさせてくれる。
次は、この人の書いたスペイン風邪の本が読みたいな。
->
日本を襲ったスペイン・インフルエンザ―人類とウイルスの第一次世界戦争

健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて

これも歴史人口学を調べている過程で、見つけた本。
現代に生きることの息苦しさが、社会の発展のために必然的にそうなっているのではないかという観点で記載された本。
結構内容重めの本みたい。

2021/12/11 読了

3月に読みたいと思ってから、9ヶ月。
ずっと図書館で予約していたんだけど、ようやく借りて読めることになった。

注釈を省くと280ページほどだけど、文章が難しくないので、わりとすらすら読める。
全7章あり、6章までが各分野での問題提起で、最後の7章が結論というか著者の考えのまとめ。

結果からいうと読むことができて、非常に良かった。
今まで考えたことのない視点をもたらせてくれて、そこから色々と考えるきっかけになっている。

本書の要点としては、
「皆が良いと思って進めてきた様々な事柄が、確かに良い面が大半なんだけど、知らぬ間に進みすぎてしまって全体的なハードルがあがっており、不自由さを生み出している」
ということになるかな。

簡単に、掃除で例えてみよう。
掃除の頻度は人によって様々だ。
散らかった部屋で過ごすのがなんでもない人や、毎日掃除しないと気がすまない人。

僕は基本的には前者だが、コロナで家にいる時間が長くなって、1週間に2回は掃除機をかけるようになった。
そのように前者の人が、なんらかの理由で掃除するようになっていったとしよう。
そうすると、それまであまり汚いと思っていなかった部屋が、なんだか散らかっているように思えてくる。

で、だんだんと掃除に拍車がかかってくると、綺麗にしておかないと落ち着かなくなってしまう。
ちょっと床に落ちた髪の毛が汚く思えたり、少しの食器でもすぐに洗うようになったり。
これが、ハードルがあがった状態。
以前より「部屋の清潔さ」のハードルがあがったために、
「散らかす」という自由がなくなってしまっていくということだ。

もちろん、掃除に関しては生来の潔癖がなければ三日坊主になることが多いと思うし、実際僕はサボることも多い。
また、別に掃除しててもいつでも散らかしていいじゃん、自由はあるさというツッコミもありそうだが、
この例に例えば他人の目を登場させてみると、

掃除をするようになった人がまた散らかしているのを目撃
-> 何か体調が悪いとか、精神がまいっているのかもしれないと心配する
-> どうしたの?と声をかける
-> かけられたほうは、別にどうもしないのに、散らかすだけで変に心配されてしまうのかと思う
-> やっぱり掃除しつづけないとな

という風に人の視線が半強制力をもっていくことがあると思う。
そして、これが社会全体だと、もっと強固な強制力をもって個人の行動をコントロールし始める。
個人はそれと気づかずに、だ。

掃除の例をもって書いたが、
おおよそそのようなことが本書の問題提起だ。

そして、この本で大事なことが、著者は社会が良くなる事自体に反対しているわけではないということだ。
先の例では、掃除自体は悪いことではないし、
皆の掃除を楽にしようと、掃除器具を創意工夫していってる人たちを否定しているわけではない。
それは否定していないが、そうやってより良いものを求めた結果が必ずしも良いことづくめではないということを書いている。

最後の7章ではまとめとして著者なりの考えが書いてあるが、
問題の解決策としてはとても弱い(当たり前だね、こんな難しい問題をすぐ解決できるわけない。)

だが、それでも、社会というものを捉える観点が一つ増えたので、
それだけで本書を楽しめた。

どこかで誰かが見ていてくれる 日本一の斬られ役・福本清三

2021/01/10 読了

今年の元旦に亡くなった、斬られ役俳優の福本清三さんの本。
時代劇が好きな人なら知っているんだろうけど、僕は初めて知った。
訃報のニュースを見て、斬られ役というのがどういう人だったのかと興味がわいたので、
後述と併せて、図書館で借りて読んだ。

インタビューをまとめたような書き方で、
福本さんが仕事場や実家で、自身が生きた時代を語ってくれる。
対話形式なので、
福本さんがどういう話し方や言葉遣いをするのかが分かって、人間としての雰囲気が感じられ、面白かった。
こういう方の生涯をまとめるにはいい手法だと思う。

ネットで「福本さんは斬られ役一筋、それだけにこだわっている」みたいな書き方をされているのが見られるが、
この本をみて思ったのは、
確かにこだわってはいるんだけど、そんなに頑固なイメージはなく、
むしろ本人は、
「撮影のために考えた結果なだけ」みたいな、
謙虚な姿勢でいるのが印象に残った。
決して自分のやってきたことを必要以上に誇らない、心地よい軽さというものが感じられ、
こういう大人ってカッコいいなと思わせてくれた。

おちおち死んでられまへん ―斬られ役 ハリウッドへ行く―

2021/01/13 読了

同じく福本清三さんの本。
実は福本さんは2003年に映画「ラストサムライ」に寡黙なサムライとして出演している。
上述した前作が2003年に出た本で、こちらが2004年なので、
元々2つにわける予定だったのかも。

メインはラストサムライの話題で、
ハリウッドの映画の撮り方などが語られているが。
それより印象的なのが、福本さんがハリウッドなどの海外のやり方を素直に絶賛していること。
2003年当時定年を迎えた日本映画の人が、
いいものはいいとオープンなマインドをもっていることがなんだか嬉しかった。

この後2014年には初出演映画の「太秦ライムライト」に出ている。
カナダのファンタジア国際映画祭で最優秀主演男優賞をいただいたそうで、
今度見てみる予定。

銃・病原菌・鉄 上巻

銃・病原菌・鉄 上巻
ジャレド ダイアモンド(著), 倉骨 彰(翻訳)

2021/03/04 読了

数年前に下巻の途中まで読んだけど、それっきり積読になってた。
Civilizationやってると世界史欲が出てくるので、また最初から読もうと思った。

この本全体のテーマである、「現在の世界の不平等さはどこに由来するのか」という問いを、
上巻は主に農耕と牧畜がどのように発展してきたのかを説明しながら語られている。
この本の良い点は、
特定の時代や特定の地域だけを扱うのではなく、世界全体を扱っているので、
世界史を俯瞰でみるような視点が得られるということ。
また、各章の内容が、最初のテーマにどのように繋がっているのかがちゃんと語られているため、
テーマを見失わずに読んでいけることだと思う。

下巻も楽しみ。

銃・病原菌・鉄 下巻

銃・病原菌・鉄 下巻
ジャレド ダイアモンド(著), 倉骨 彰(翻訳)

読み中。

新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実

2021/03/09 読了

眠れぬ夜に一息で読んだ。4時間ぐらいかな。

実は、子供が勝手にKindleを触ってたら、
わけもわからず購入完了になってたという経緯で知った本なので、読みたくて買った本ではない。

「なに勝手に触ってるの!」って言ったら、
やばいと思ったのか、小さい声で「ごめんなさい」って言ってたけど、
読んでみたら、結構面白かった。
叱ってごめん、息子よ。君が偶然買ってくれたおかげだわ。

全体としてインタビュー形式なので読みやすいってのはあるんだけど、
特に面白かったのがワクチンと免疫の仕組みと、
現在世界で急ピッチで作られているワクチンがどういう種類のワクチンなのかってのが分かったこと。

また、科学的思考で新型コロナウイルスを含めた世の中の流れを考えるためにはという観点からのアドバイスもあって、
単純に新型コロナウイルスだけの話題ではなかったのが良かった。

とりあえず、
この本を読んだ後に調べてみた限りでは、
現在世界で接種が進められている核酸ワクチンは今までのワクチンと仕組みが違うので、副反応が怖く、
ワクチン接種を急ぐ必要ないなら、塩野義製薬が開発中の従来型ワクチンができてからでもいいなと思った。
どうせ一般市民が接種できるのはもっとあとだろうけど。

親業―子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方

親業―子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方
トマス ゴードン(著), Gordon,Thomas(原著), 千恵, 近藤(翻訳)

2021/03/16 読了

別記事にした。

親業を読んだ

ゴルディアスの結び目

2021/03/24 読了

最近、好きなSFを全然よんでなかったけど、
またSF欲が出てきたので、定番の小松左京。
ただし、僕は今まで小松左京作品は全く読んだことなかった。
日本沈没が先なのが王道の読み方なのだろうが、
この作品が評価が高いみたいだし、短編なのですぐ読めるかなと思い手を出してみた。

結論からいうと、
小松左京の一作目としてはおすすめしない。
とにかく世界観に引き込まれるので熱中するのだが、人によってはグロテクスな表現が苦手って人もいるかもしれないので、
ページをめくるのが億劫になる可能性もある。
それに、おそらく小松左京はこの作品にみられる書体だけの人じゃないのだろうと思うので、
この作品を読んで小松左京ってこんな人って決めつけてしまうのは危ういと思う。

ということで、同じく小松左京の「果しなき流れの果に」を次に読もうと思う。

果しなき流れの果に

2021/03/26 読了

わずか2日で読んじゃった。
やはりゴルディアスの結び目より先にこっちを読むべきかも。

プロローグから1、2章、エピローグ2まではすごく面白い。
伏線色々貼ってて、どうなるんだ感が強くてどんどん読んでいける。
3章以降の各話自体はいいのだが、
結論までにもっていくところが、
よくわからんけどなんとなくこんな感じになりましたよ感があって、
しっくりこない感じ。
これは僕がゴリゴリのハードSFが好きで、
論理的に成り立ってない(正確にいうと、作品内でちゃんと説明されていない)事柄を積み重ねて、
なんとなく結論に持っていくのがあまり好みじゃないってのがあるかもしれない。
ファンタジー色が出てきる感じで、話の必然性がないってことかな。
光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」もそうなんだけど、
宗教とか意識のみの生命とか出てくると、
こういう傾向が強くて、なんか納得できないので、純粋に楽しめない感じがある。
デニス・E・テイラーの「われらはレギオン」とかのほうがそういう話は少なくて好きだね。

まあ、半世紀以上前の作品なので、比べるのは小松左京や光瀬龍に失礼というものだが。

批判が多くなったかもだけど、
最後のエピローグ1で締める終わり方は胸熱。
目次でエピローグ2、エピローグ1って書いてる時点で話の筋が想像できるのだが、
(ちなみにこれは元々本作品が雑誌連載だったから、ここで話が終わりと思わせないようにエピローグに番号いれたのだと思う。)
それでもこういう構成は好き。
今ではそこまで珍しくないかもだけど、1965年にかかれているからね。
このプロットだけでもこの作品は読む価値がある。

マイナス・ゼロ

2021/03/28 読了

夏への扉が好きなので、それに似た感じで、非常に楽しく読めた。
昭和初期の描写などが、よくこれだけ詳しく書いたなと思う。
調べるのは大変だっただろうに。

また、タイムマシンが空間移動できない設定なのも良かった。
これで少しドラマが生まれている。

夏への扉のほうが人気が高いけど、
マイナス・ゼロのほうが細かいところをしっかりと書いているし、
主人公だけがタイムトラベルするのではないというのが複雑さを増し、面白くしていると思う。

MM9

2021/03/29 読了

感想は3冊まとめて

MM9─invasion─

2021/03/30 読了

感想は3冊まとめて

MM9─destruction─

2021/03/31 読了

怪獣モノってのは、あまり今まで好きじゃなくて敬遠してた。
多くがパニックやアクションがメインになりやすいので、
それは別に求めてないからなーという理由だった。
しかし、「MM9」は、「神は沈黙せず」を書いた山本弘さんだったので、読んでみようかなと思い、買ってみた。

読んでみると、確かに怪獣が出てくるんだけど、
本当のメインは、多重人間原理という架空の理論を中心にすえ、
怪獣はあくまでその小道具の一つで、
すぐにハマってしまった。

雰囲気は1巻が一番良くて、
2,3巻はどっちかというと恋愛要素入ってきてしまうので半減だが、
それでも最後まで、多重人間原理およびそこからの理論の広げ方が面白い。

「神は沈黙せず」のときも思ったけど、山本弘さんとは、
SF関連や哲学関連の感性が近いのかもしれない。

本作でも、
世界各地の神話などはデタラメなこと書いているわけではなく、
あるがままに書いていたという発想があるが、
僕も、昔の人がそんな馬鹿なわけないという発想の持ち主なので、非常に面白かった。

スピンオフ的な本もあるらしいので、そっちも暇があったら読むかも。

ネクサス(上)

ネクサス(上) (ハヤカワ文庫SF)
ラメズ ナム(著), 中原 尚哉(翻訳)

2021/04/02 読了

感想は上下まとめて

ネクサス(下)

ネクサス(下) (ハヤカワ文庫SF)
ラメズ ナム(著), 中原 尚哉(翻訳)

2021/04/04 読了

ドラッグ指定されているナノマシンを利用して頭の中にOSを入れ、
かつ、他の人と精神的な交流ができるという設定はなかなか面白く、
著者がマイクロソフトにいたというだけあって、しっかりと考えられていた。
他人からの精神干渉をファイヤーウォールちっくので防いだり、
バックドアを仕掛ける方法が、Ken Thompsonのコンパイラーバックドアの手法が使われてたりして、
プログラマーなら、クスっとしてしまうことうけあいだ。

ただし、本書の一番いいのは、単にクライシスものやアクションもので終わるのではなく、
モラルとは何か、選択肢が限られている状況で主人公は何が一番いいのかを苦悩して、結論を選んでいるということを描いていることだろう。

技術をどう活かすのかは今後ますます強い意味合いを帯びていくと思われるので、
SFの中で、こういう作品が増えていくのは重要な意味があると思う。

ちなみに、この作品は3部作になっており、
本書はその1作目。
まだ2,3作目が日本語訳されていないが、出たらすぐ読みたいと思う。

ボッコちゃん

2021/04/19 読了

ショートショートの神様、星新一。
小学生以来、特に読んでなかったけど、小松左京と仲良かったということを知って、読んでみた。

軽く読めるSFとしては最高。
わずか4ページぐらいの話もあるから、気軽。
でもちょっとした毒のある話もあって、飽きない。
日常のちょっとした出来事の、別の見方を提供してくれるような感じが、感性を刺激される。

なんで星新一が評価されているのかが分かった。

きまぐれロボット

2021/04/20 読了

上記の「ボッコちゃん」の流れで、読んでみた。
解説が谷川俊太郎なのでって理由もある。
何だか谷川俊太郎好きなんだよね。

読んでたら、数個、ボッコちゃんに収録されているのと同じ話があった。

なので、感想はだいたい同じ。

ショートショートって、一話ごとに感想書いたほうが意味がある気がするけど、
面倒なので、やらない。
もっと気軽に読めるのが大事だしね。

ただ、これを読んだ後に、星新一のショートショートの作り方を少し調べたんだけど、
かなり細部まで気を遣っているのがわかった。(登場人物をエヌ氏とかって表現しているのも、その一環らしい。)
色々無駄なものを排除した結果がショートショートなんだということがわかると、また違った読み方になる。

市塵(上)

新井白石を描いた本らしい

2021/06/01 読了

感想は下巻と一緒に。
市塵(下)

習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法

チェスのチャンピオンが、太極拳のチャンピオンにという人の自伝ちっくな本

2021/09/11 読了

半年ぐらいずっと読みたかった本なんだけど、ようやく読めた。
ここ最近では一番の当たり。

作者は子供の頃からチェスの天才児として活躍してたけど、
映画のモチーフになったことで、環境が変化し、
そのためにチェスでも上手くいかなくなってしまったところ、
太極拳と出会い、自身を見つめ直すことで、
世界大会で優勝するという異色の経歴の持ち主。

この本は、そんな作者が、
全く違う世界の技術でも共通している要素があり、
それを意識していけばどちらも上達していくことができるという認識のもと、
自身の人生を思い返しながら、どういう風にそれぞれの道を習得していったかを記したもの。

内容は結構難しいと思う。
もちろん書かれていることは理解できるし、頭では分かるんだけど、
実際それを行うというのは、
強い意思と情熱が必要だ。
だから、自分が好きな道とかに応用して考えるしかない。

しかし、ここに書かれている内容は、
極めれば人生を豊かにしてくれることは間違いない。

一度読んだだけでは入ってこない部分も多いから、
何度も読んで、自分の中に蓄積していく必要があると思う。

日本を襲ったスペイン・インフルエンザ―人類とウイルスの第一次世界戦争

歴史人口学で見た日本
の、速水融さんの本
日本内での記録があまり残ってないスペイン・インフルエンザを調べた本だというので、図書館で借りて読んでみる予定。

2021/05/29 読了

400ページ以上あるが、全体的に資料を集めて統計的にスペイン・インフルエンザの被害をまとめた書籍。
5章までは時系列でどのようにスペイン・インフルエンザが広がっていったか、
6章以降は地域毎や、特定の集団毎にどれくらいの被害が出たのかを記して、最後に総括となる。

行政の発表した人口資料や各地の新聞、医師や軍の記録など、
様々な資料を片っ端から集めて、当時どのくらいの被害が出ていたのかを明らかにしている。
各資料といっても、きちんとしたものではなく、
例えば行政の発表した人口資料といっても、基準が地域ごとに違うので、一筋縄ではいかない。
こっちの地域では、肺炎とスペイン・インフルエンザの死亡者がまとめて記されていて、
またこっちの地域では、数ヶ月分が欠けているなど、
どう考えてもそこから一定の統計値を出すのは不可能に思える内容を、
多角的な観点から、ある程度の精度で導き出していくのは、果てしない道のりだったに違いないことを思わせる。
おそらく、その大変さと、かけた労力に対する見返りの少なさから、
今まで日本でスペイン・インフルエンザをまとめた本が出ていなかったのだろう。

その意味で、速水さんの功績は多大なものであったと思う。
これがなければ、およそ100年前の悪魔の伝染病は歴史の闇に忘れ去られてしまったであろうと思う。

この本を書き上げたのは2005年で、SARSが世界に被害をもたらした後だったこともあり、
速水さんは今後起こりうるインフルエンザに対して、
この本が歴史を学ぶ一冊になればという思いで書かれたみたいだが、
2021年現在、COVID-19が大流行している今だからこそ、
この本を読んで、当時がどういうものだったのかを考えるのがよいと思う。
(実際読んでみると、科学の進歩はあるものの、人々の行動はそう変わっていないことに気付く。)

読んで楽しいかというと、人によって意見が分かれると思うが、とても意義のある読書になったと思う。

市塵(下)

2021/06/16 読了

元々は、江戸時代に侍の格好をして日本に潜り込んだという、
宣教師シドッチのことを知ったのが始まりだったと思う。
そのシドッチを尋問したのが新井白石で、
尋問という形ではあったが、その会談はひどく新井白石を感激させたという。

そこから新井白石に興味がわき、今回「市塵」を読んでみたわけであるが、
この本は非常に楽しかった。

まず、江戸時代中期という、一番良くわからない時代が舞台。
忠臣蔵で知られる赤穂浪士の討ち入りや、生類憐れみの令の徳川綱吉のあたり。
これらの単発の出来事は知っていても、
では時代はどういう時代だったのかということは分かっていなかったので、
読んでいくうちに自然と社会情勢が理解できる本書は非常に有益だった。

そして、その情勢の中で、
壮年になるまでさして活躍をしてなかった新井白石が、
数年で幕府の政治の中心になるというある意味シンデレラストーリー(ただし、並々ならぬ努力の結果であるが)が、面白い。
また、仕えた主君が二人とも早世だったため、あっという間に失脚し、
晩年は上記シドッチのことやそれ以外のことについて大量の著作物を残して亡くなっていくという悲哀も、物語を美しくさせている。

おそらく、天運に恵まれていれば、
そのまま幕府の中枢で、様々な改革をやり遂げ、また違った形の社会を作ったであろう人であったが、
そうすんなりいかないのが世の常というものなのかもしれない。

藤沢周平は、読んだのはほとんど初だと思うが、重苦しくなりやすい時代物で、どんどん読み進めたくなる文章を書く人だなと思った。

馬場のぼる ねこと漫画と故郷と

2021/06/17 読了

「11ぴきのねこ」シリーズは、誰しもが子供のころ目にした本だと思う。
のほほんとしたねこたちの物語だが、どこか人間くささを感じ、何年たっても古びない、良い絵本だと思う。
大人になるにつれて、次第に忘れていってしまったのだが、
最近子供が読むようになって、当時の記憶が蘇ってきていた。

で、図書館でシリーズを借りつつよんでいくうちに、馬場のぼるさん自身に興味が出てきて、本書を借りてみた。
全体として、本人の来歴とそのときどきの作品を紹介しつつ、
馬場のぼるさんに関わった方々の馬場さんについての文章などを載せている。

馬場さんの絵はコミカルな素朴さがあるが、
作品やスケッチをみると、
実際はしっかりとした絵を描くことができる人だというのが分かる。
特に動物が上手い。
動物を描くときはまず写実的に描いて、その後に人間っぽくデフォルメしていくという描き方をしている。
動物の元々の動作を見て、「おや、今はこういう人間の動きかな」っていう風に、
人間くささを見出していく方法みたいだから、不自然にならずに描くことができている。
なるほどなーっと思った。

他にも親友手塚治虫との話だったり、11ぴきのねこのマラソン大会の絵巻絵本の制作過程だったり、色々と面白かった。

馬場さんは2001年に亡くなっているが、
その4日前には、遺作となる「ぶどう畑のアオさん」の最後のページを描いていたそうだ。
最後のページはアオさんが雲を見上げている姿が描かれているが、
それは1967年に出した「11ぴきのねこ」の表紙の雲と一緒だった。
これを知ったとき、最後まで絵の中に遊び心を忘れない人だったんだなと思った。

馬場のぼる作品集 絵本のしごと 漫画のしごと

2021/07/04 読了

上の本の次に読んだやつ。
ほぼほぼ内容は似通っているが、
こっちは展覧会の内容を載せているので、どっちかというと絵が多め。

うろんな客

うろんな客
エドワード ゴーリー(著), Gorey,Edward(原著), 元幸, 柴田(翻訳)

2021/07/08 読了

普段子供のために図書館から借りた絵本はこの一覧にはいれないんだけど、
これは完全に大人のための絵本な気がするから書いておく。

エドワード・ゴーリーといえば、知る人ぞ知る絵本作家らしい。
特にホラー系の絵本を描くことが多く、世界で熱狂的なファンがいるらしい。

僕は今まで知らなかったんだけど、
この本が、一見何の話なのか分からないが、実は子供を表しているということを聞いて、
読んでみようと思った。

すごいのは、翻訳するときに、五七五七七の短歌調に翻訳していること。
これは翻訳家の柴田さんが頑張ったなと思う。
単に字数合わせるだけではなく、
雰囲気も捉えた短歌というのが悪くない。

白河夜船(しらかわよふね)なんていう言葉を初めてきいたりして、
かなり面白い翻訳だと思った。

最後に普通に翻訳したバージョンも載せているので、意味が分からないってことはほぼない。

子供のことを表しているってことだけど、
たしかにそれっぽいのはあるものの、
言うほど子供感があるわけではなく、ふーんって感じ。

期待と結果の驚きが違った読書だったので、面白かった。

英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史

2021/07/22 読了

去年からずっと読みたかった本
「はじめての英語史」とはあるが、
実は、去年読みたかったときには下記の本を読んでいた。

英語の歴史 過去から未来への物語 (中公新書)

なので、ざっくりと英語史には触れていたので、
それを思い返しながら読んだという感じ。

英語史については、また別記事にすると思うけど、
英語を学ぶにあたって、僕にとってはただ英語を覚えるというよりは、歴史的背景をおさえておいたほうが理解が早い気がするんだよね。
どうやって、そういう表現が成り立ってきたのかとかは結構面白いし。

本書も、英語を学んでいくと誰もが通る何故?を題材にしながら、歴史に入っていくので、英語学習者を対象にしている。

そして、例えば、三単現のsとかは、三単現の場合だけが例外なんじゃなくて、
歴史的にみれば、他のパターンのときに、語尾が消失し、三単現の場合だけが残ったという経緯がある。
などのことがしっかりと解説されてあって、面白かった。

専門用語をしっかりと理解して読んだわけじゃないが、
それでも大体が理解できるので、一字一句読んでいくというよりは、
英語勉強中にちょっとしたコラムを読んでいる感じで読めたので、読みやすかったと思う。

この著者の堀田さんは英語史のブログもやっていて、そっちも面白そう。

水木サンの幸福論

2021/08/17 読了

息子が鬼太郎が好きなので、
それにつられて僕も水木しげるに興味が出てきたので読んでみた。

幸福論というタイトルだけど、
実際にページ数が多いのは、自伝部分。
そして、この自伝部分が一番面白かった。
やはり戦争に行って死にかけるという強烈な体験は、
水木しげるを大きく変えたんだろうなと思う。

そこで得られた人生観が、作品にしっかり含まれているから、
あんなにも鬼太郎が人気なのだろうと思った。

ちなみに、水木しげるは自分のことを「水木サン」と呼ぶ。
なかなかいい一人称。

水木しげるの古代出雲

2021/08/21 読了

そういえば、鬼太郎は好きだけど、
水木しげるの漫画って読んだことなかったなと思ったので、読んでみた。

水木しげるの故郷から近い出雲を中心に、
古代の神話を本人なりに解釈して描いた作品。
ずっと温めていたらしく、晩年になって発表している。

内容としては、古事記や日本神話のおさらいって感じだが、
水木しげるなりのキャラクターの書き方が面白いので、
雰囲気が固くならず読めるのがよかった。

輪廻の蛇

輪廻の蛇 (ハヤカワ文庫SF)
ロバート・A. ハインライン(著), Heinlein,Robert A.(原著), 徹, 矢野(翻訳)

2021/09/03 読了

ハインラインといえば、「夏への扉」
SF好きからは絶大な人気を集めている本。
僕も、旧訳版、新訳版、英語原作版と3つも持ってる。
だけど、ハインラインの他の作品というと、急に知名度が下がる印象。
「月は無慈悲な夜の女王」とか、「人形つかい」とか、名作は多いんだけどね。
そんな中でも特に知られていないのが、本作「輪廻の蛇」
短編集で、表題作の「輪廻の蛇」が秀逸なんだけど、それ以外も「歪んだ家」とかが面白い。
実は、映画「プリデスティネーション」として2014年に公開されて、
それで僕は本作を知った。

この映画がまたとても面白く、1時間37分しかないのに非常によく話がまとまっている。
主演イーサン・ホークがいい演技をしているが、
それを超えるストーリーが素晴らしい。
初見が一番楽しめるが、二度三度見ても新たな発見があったりするので、オススメだ。

原作がずっと気になっていて、ようやく読めたのは嬉しい。

時間とは何か

時間とは何か
池内 了(著), ヨシタケ シンスケ(著)

2021/10/23 読了

挿絵を書いたヨシタケシンスケさんが好きで、
よく子供と図書館で借りているが、
子供向けなのかなと勝手に勘違いして借りた本。
時間にまつわる歴史や考え方などがのっていて、
広く浅く時間とは何かを知るにはいいのかもしれない。
また、文章が平易で読みやすいので、中学生や高校生が読んでも分かりやすい。

七人のイヴ 上

七人のイヴ 上 (ハヤカワ文庫SF)
ニール スティーヴンスン(著), 日暮 雅通(翻訳)

2021/10/18 読了

感想は下巻と一緒に。

七人のイヴ 下

七人のイヴ 下 (ハヤカワ文庫SF)
ニール スティーヴンスン(著), 日暮 雅通(翻訳)

2021/11/13 読了

この人の小説は造語が多くて読みづらいという評判だったけど、
実際読んでみるとそこまで読みづらい印象はない。
むしろ、関係あるのか分からないところが深く書かれていて、本筋を見失ってしまいがち。
まあ、それが世界観を演出しているところがあるので、結構本の世界にはまり込んでしまう。

七人のイブは設定がすでに面白いので、
さらにそこからどう物語を展開していくのかが気になっていた。

ネタバレになるけど、
タイトルの意味およびクライマックスは第二部最後で7人の女性が残るところ。(実際には8人)
そこから第三部にいくと人種問題が入ってきたりして、物語の構成をしっかり考えているなと思わせる。
これをタイトルの意味が分かって終わりにしなかったのは、作者すごいなと思う。
内容としては第二部で綺麗に終わりそうなので、
普通なら、これからきっと人類は再度発展していくんだろうなという余韻を読者に託して本を終わらせるところを、
さらにそこから自分なりの未来を描いたのが、作者の努力が伝わってくる。

正直いうと、第三部は途中でダレるところがあったけど、最後のほうで伏線回収してたのが良かったかな。

ただ、月が崩壊した原因が不明のままだったのが、ちょっと不満。
見落としてるだけかな?
でも、ネット探してもあまり見つからないから、
もしかしたらまだ続編を考えているのかも。

面白いけど、SF初めての人にはおすすめしない。

ものは言いよう

ものは言いよう (MOE BOOKS)
ヨシタケシンスケ(著), MOE編集部(編集)

2021/10/27 読了

ヨシタケシンスケさんを知るための本。
本人へのインタビューとか、どうやって絵本作家になったかとか。
結構ネガティブというか自虐的な人だけど、見てる観点が面白いので、スイスイ読んでしまえる。
勝手な偏見だけど、絵本作家って自身の業績を変に誇ったりしないでほしいって思うから、
そういう点ではヨシタケシンスケさんはまさにピッタリ合ってる感じはする。
でも、この人はもっと自信もってよいと思うけどな。

デリカシー体操

2021/11/03 読了

ものは言いように引き続き、ヨシタケシンスケさんの本
デビュー前のスケッチ集で、
ただ何気ないスケッチが並んでいるだけなんだけど、結構面白い。
ふっとした疑問を描いたものも多く、気軽に読めるのに、
ヨシタケシンスケさんの視点が何となく分かる気がする。

日めくりカレンダーとかにしてあったら買っちゃうかも。

聖の青春

2021/11/07 読了

村山聖という夭折した棋士の生涯を描いた作品。

藤井聡太が四冠を取り、昨今以前から続いている将棋ブームがより一層高まっているが、
この本を読んだのは、別にそれがきっかけではなく、
現在やってるドラマ「日本沈没」で松山ケンイチの演技が素晴らしく、
その松山ケンイチがしっかり役づくりして望んだ映画「聖の青春」が素晴らしかったから。

でも、本を見つけて、作者が大崎善生だってことに驚いた。
僕にとってこの人はパイロットフィッシュ、アジアンタムブルーの人だったので、
なんでその人が?って感じだった。

調べたら、大崎さんは、むしろ将棋の世界の人だったらしい。
この作品で作家としてデビューしたと言っていい。

なので、俄然読んでみようという気になった。

読んでみると、映画版はかなり圧縮されていることが分かった。
少年時代のことや師匠との日々など、村山聖を形作る大事な部分がしっかりと記されている。

そして、鬼気迫る対局や闘病生活。
師匠と仲が良い大崎さんだからこそ書けた本であろう。

この村山聖という男の生涯と気迫にただ感服するとともに、
村山聖が生きた将棋の世界を少しでも垣間見たいと思い、
この本をきっかけに、将棋に手を出してみたが、結構面白い。

また他の将棋の本読んでいるからそっちで書くと思う。

ひふみんの将棋入門

2021/11/26 読了

将棋をはじめて、アプリのぴよ将棋などで駒落ちCPU戦を戦っている。
とりあえず8枚落ちまではピヨ帝に勝てるようになり、6枚落ちをやっている最中。

将棋の入門書ということで、棒銀で有名な加藤一二三さんの本を選んでみた。
基本的なことは知ってるつもりでも、
例えば歩打ちで詰ませることができないのは知らなかったので、読んでおいて良かったと思った。
また、詰将棋50問がついていたので、盤に並べてやってみた。
詰将棋は、はじめてだったんだけど、なんとか45問ぐらいまでは間違いありつつ解けた。
しかし、そこからは7手詰めだったので、難易度が高くて、答えをみただけで終わらせてしまった。

加藤一二三さんはやっぱりメディアに出れるぐらいなので、話が面白く、
横筋それるのが逆にいい味出してると思う。

名人に香車を引いた男―升田幸三自伝

2021/11/27 読了

聖の青春もそうだけど、
将棋も面白いが、それより棋士の生き様が特に面白い。
本書の升田幸三という人も、昭和の棋士だが、
その破天荒な生き様がすごくて、今だと想像もできない人生だ。

元々、GHQと舌論を交わしたというエピソードが気になってよんでみたんだけど、
その他のエピソードも結構面白い。

少年時代の途方もない夢をしっかりと叶えてしまうのが人物の大きさを伺えた。




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